STYLE MAGAZINE FOR PRECIOUS TIME vol.3

第3回ゲスト
阿部圭介さん/(株)ステッラ・ヴィヴァーチェ 代表取締役
2000年、イタリアで本場のエスプレッソに出会い、感銘を受けてバリスタになることを決意。建築業界からの転身をはかる。セガフレードザネッティでバリスタとしての技術やマナー、ホスピタリティーを習得した後、某イタリアンレストランからのオファーでバリスタとして本格始動。イタリアに渡り研鑽を重ねる。2008年には独立、2011年には現会社を設立し、代表取締役に就任。IIAC認定Corso di Patente、国際カフェテイスティング協会認定資格、デロンギ・ジャパン(株)バリスタ講師、日本バリスタ協会アシスタントなど、多くの肩書きを持つ。最近ではメディアにも数多く登場し、CM制作や店舗コンサルティングも手がけるなど、ますます活躍の場を拡げている。
stella vivace [ステッラ・ヴィヴァーチェ] http://www.stella-vivace.com
── 僕の人生を変えたエスプレッソの味は、一生忘れない。──
12年前、建築の仕事をしていた僕は、旅行でイタリアに行ったんです。その時たまたま入ったバールで飲んだ一杯のエスプレッソが、衝撃的に美味しくて。
それまでに味わったことのない甘みと深みに鳥肌が立つほど感動して、「この味を出せるバリスタになろう」と直感で決めました。ここまで人生が変わるとは自分でも驚きですけど(笑)、人ひとりの生き方を変えるくらいの力が、あのエスプレッソにはあったんだと思います。
でも、バリスタとして修行し始めた当時、日本のお店でお客様にエスプレッソを出して怒られたことがあるんです。「何だこれは!?こんな小さなカップで、しかもほんのちょっとしか入ってないじゃないか!」と。(苦笑)。
アメリカ式のコーヒーに慣れていた日本人には、確かに物足りなかったかもしれませんね。しかも、日本人はコーヒーそのものを味わうというより、時間をゆっくり過ごすためのお供としてコーヒーを飲む文化を持っていますから、エスプレッソの量では間が持たないというのも理解できました。
それも今では随分様変わりして、エスプレッソはスタンダードな飲み物として人気の高いものになりましたね。
── おもてなしの気持ちが、コーヒーを美味しくする。──
エスプレッソやカプチーノの講習会をさせていただくと、男性はウンチクを覚えたいという方が多く、女性はラテアートを覚えたいという方が多いんです。講習会の生徒さんは、飲食店の経営者さんから主婦の方までさまざまですが、皆さん共通しているのは「誰かをもてなしたい」という想いのようです。講習会で覚えた話やテクニックで、ゲストや家族、友達に喜んでもらえたら…と、皆さん本当に一生懸命!相手のためにと心を込めると、手順ひとつひとつの動作が違ってきますから、当然味も変わります。おもてなしの心=ホスピタリティーは本当に重要ですね。
── ONとOFFの間に、気持ちよく存在するモノを選ぶ。──

バリスタはもちろん「仕事」。でも、僕としてはプライベート=OFFの領域にとても近い感覚があります。大好きなコーヒーは、休みの日も欠かせないので(笑)。
だからモノを選ぶ時も、これは仕事用/これはプライベート用と明確に分けることはあまりありません。どちらのシーンでも使えるように、[きちんとした雰囲気]と[高い機能性]、プラス[ちょっとした遊び心]が共存するものを探すことが多いですね。最近買ったオロビアンコのバッグはまさにそれ。派手すぎず地味すぎないブラウンカラー、大きくて丈夫で撥水仕様、ポケットの数も十分、デザインもニュートラル。どこへ行くにも使い勝手のいいバッグです。
でも、maison de vosgesで買ったプランターバッグは「仕事用」と言っていいかも。何かと荷物の多いこの仕事にピッタリのビッグサイズなんですよね。しかも、ロンドンの花市場でしか買えないプライベートブランドだから、デザインも秀逸。道具を詰め込んでも型くずれしないし、何と言ってもカッコよくて目立つ!それでバリスタ仲間の一人に勧めようと話をしたら、「もう持ってるよ」と言われてしまって。彼もmaison de vosgesで買ってたんです。もうこれはプランターバッグ改め、バリスタバッグでどうですか?(笑)
── いつかは、誰かの[きっかけ]を作れるようなバールを。──
今は日本全国でエスプレッソやカプチーノをご提供していますが、いつかは自分の店=バールを持って、カウンター越しにお客様との時間を楽しみたいですね。気が向いたらいつでも気軽に立ち寄れる店。毎朝、ここで一杯飲むことが一日の活力になる店。少し落ち込むようなことがあっても、気分を変えるきっかけになる店。さあ次へ!と踏み出せるような、珠玉の一杯を出せる店。そんな、誰かの出発点になるような店が作れたら、幸せだと思います。


10年続けてきて実感するのは、プリザーブドフラワーが人の心や、時には生き方までも変える力を持っているということ。作品を飾るだけで優雅な気持ちになれるのはもちろんですが、自分で作品を手がけることで、その人自身がどんどん変わっていくのを私はこの目でずっと見てきました。たとえば子育てが終わった時、大切な人と死別してしまった時、人生の目標を探している時…。人生の岐路でプリザーブドフラワーに出会われた方々は、目の前の世界が色を変え、大きな生き甲斐や喜びを手に入れたと笑顔でお話しされます。
プリザーブドを始めて1年目に、自分で買ったカルティエの「パンテール」。ほとんど毎日、肌身離さず身につけています。この豹が私を守ってくれているようで、気持ちが落ち着くんです。いろいろなアクセサリーを試してみるものの、やっぱりこれがしっくりきますね。
自分へのご褒美は、ネイルでしょうか。月毎に変わる季節のプリザーブドアレンジをネイリストさんに見せて、カラーを決めるんです。モチベーションも上がって楽しいですよ。このネイリストさんも、実は私の元生徒さん。人のつながりはずっと大事にしていきたいですね。
maison de VOSGESオリジナルの品々は、どれも大人の時間をイメージして仕上げました。Lサイズのリースは、ほんのり香るヒムロスギをベースに白いファーとゴールドブラウン系のリボンやミラーボールをあしらいました。モダンなアクセントとしてアーティフィカルフラワーのネコヤナギを巻き、プラチナ色のユーカリを添えています。
このリースとスワッグで、皆さんが一年を穏やかに終え、新年を華やかに迎えるお手伝いができれば本当に幸せです。また、2012年はmaison de VOSGESとのコラボレーションにますます力を注いでいきますので、多くの方々とつながる喜びの多い一年になりそうです。


どの作品にも愛着があるのですが、たとえば「旅持ち茶籠」のお話をすると。
「甘酒キャラメル」は、下関酒造のお嬢さんがアルバイトで来てくださったご縁で取り寄せていました。あまりに美味しいので伊勢丹の丹青会でお客様にお出ししていたら、伊勢丹のバイヤーさんのお目に留まり、商品化することに!パッケージデザインは私が担当。好きが高じて、意外な展開になってしまいました(笑)。こういう時にご縁を感じますね。発酵食品は体にいいから、お薬っぽい見た目にしたくて。甘酒は、昔から夏バテに効くといわれている栄養ドリンクですし。酒粕の力ってすごいんですよ。発酵は、大いなる自然の恵み。この優しい飴は、私の心を豊かにしてくれるお気に入りの一品でもあります。
